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転勤は原則として命じられる。ただし限定の合意があれば別(最高裁 2024 年)
手順 2026-10-31 · 3 分
就業規則に転勤・配置転換を命じる定めがあり、勤務地や職種を限定する合意がなければ、会社は原則として本人の同意なしに転勤を命じられる。ただし、業務上の必要性がない、不当な動機・目的がある、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる、などの場合は権利の濫用になる(最高裁 1986 年、東亜ペイント事件)。職種を限定する合意があれば、会社はそれに反する配置転換を一方的に命じられない(最高裁 2024 年)。
判例の枠組み
厚生労働省の「確かめよう労働条件」が紹介する判断の枠組み:
| 中身 | |
|---|---|
| 命じられる前提 | 就業規則などに転勤・配置転換の定めがあり、勤務地・職種を限定する合意がない |
| 権利の濫用になる場合 | 業務上の必要性がない / 不当な動機・目的がある / 労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる、など |
| 業務上の必要性 | 「余人をもっては容易に替え難い」ほどの高い必要性に限らず、会社の合理的な運営に役立つ点があれば認められる |
| 限定の合意がある場合 | 職種や業務内容を限定する合意があれば、会社は本人の同意なしにそれに反する配置転換を命じる権限を持たない(滋賀県社会福祉協議会事件、2024-04-26) |
出向(籍を残して別の会社で働く)
厚生労働省の「確かめよう労働条件」の解説: 会社は、個別の同意を得なくても在籍出向を命じることができる場合がある。前提は、就業規則や労働協約に出向の規定があり、出向させることの合理性・必要性と、人選の基準の合理性があること。
| 事件 | 裁判所・年 | 判断の要点 |
|---|---|---|
| 新日本製鐵事件 | 最高裁 2003 | 就業規則と労働協約に詳しい出向の規定があれば、同意なしに出向を命じられる。必要性と人選の合理性があり、権利の濫用ではない |
| ゴールド・マリタイム事件 | 大阪高裁 1990 | 出向規定は有効だが、業務上の必要性や人選の合理性がない本件の出向命令は権利の濫用 |
| 日本ステンレス・日ス梱包事件 | 新潟地裁高田支部 1986 | 家族の介護の事情を考えるとした人選の方針に反する、転居を伴う出向は、人事権の濫用で無効 |
入社前に確かめられること
2024 年 4 月から、労働条件通知書に就業場所と業務の「変更の範囲」が書かれるようになった(労働条件通知書)。
| 書き方 | 読み方 |
|---|---|
| 変更の範囲: 会社の定める場所 | 転勤の可能性が広い |
| 変更の範囲: 〇〇県内の事業所 | 転勤はその範囲 |
| 勤務地限定の採用区分(地域限定社員など) | 勤務地を限定する合意にあたりうる |
就活サイトのスカウトに多かった「勤務地確約」「配属確約」(ラベルの記事)は、労働条件通知書の就業場所と変更の範囲で確かめる。
聞いておくこと
- 総合職か、勤務地・職種限定の区分か
- 転勤の頻度、新卒の初任配属がどこになりうるか
- 転勤に伴う手当(住宅、単身赴任など)
- 家族の事情などがあるときの申し出の仕組み
読むときの注意
- 判例の紹介で、個別の事案の結論ではない。具体的な事情は労働局などに相談できる。
出典: 厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例: 配置転換(東亜ペイント事件 最高裁昭和 61 年 7 月 14 日、滋賀県社会福祉協議会事件 最高裁令和 6 年 4 月 26 日の判示の骨子)・出向(新日本製鐵事件ほか)。2026-10-31 確認。