「あなたに興味を持った企業」から 1,105 通。企業は個人を特定できない
大手の就活サイトから 211 日で届いたスカウト通知 1,105 通は、文面の 95% が同じで、1,104 通に「企業は個人を特定できません」と書かれていた。IT 志望の学生に届いた職種のうち IT 系は 5.6%。
学生 1 人の受信箱に届いた「スカウトが届きました」メールを、サービスごとに数えた。
- 期間: 2026-04 〜 2026-10-31
- 対象: 28 卒、IT 職を志望している学生 1 人
- 数えたもの: スカウト通知メールの件名と本文。スカウトそのもの(サイト内のメッセージ)は読んでいない
- サービス名は伏せる。サイト A は 別の記事 と同じサイト。スカウトのほか、サイト A の一斉配信の本文も数えた
| 種類 | スカウト通知 | |
|---|---|---|
| サイト A | 新卒の就活サイト | 34 通 |
| サイト B | 新卒の就活サイト(大手) | 1,105 通 |
| サイト D | 口コミサイトのスカウト機能 | 127 通 |
サイト B: 1 日 5 通、文面は 95% 同じ
サイト B からは 211 日で 1,105 通。届いた日は 189 日、多い日は 1 日 7 通。
本文から URL を除いて行ごとに比べると、1,105 通の 9 割以上に同じ行が 15 行ある。その文字数は 340 字で、1 通の本文(中央値 357 字)の 95%。毎回違うのは、件名の企業名と職種名、それに「募集詳細」のリンクだけ。
「興味を持った企業」と「企業は個人を特定できません」
1,105 通のうち 1,104 通に、次の 2 つの文が同じメールの中に入っている。
あなたのレジュメに興味を持った企業から、募集情報が届いています。
— サイト B の通知メール 冒頭
※ご登録いただいているレジュメ・行動履歴に基づきお届けしています。(匿名された情報を元にお届けしているため、企業は個人を特定できません)
— 同じメールの 4 行下
企業は学生が誰かを知らないまま、条件の合う学生に募集情報を届けている。「あなたに興味を持った」の「あなた」は、条件に合った匿名の誰か。
337 社、同じ会社から最大 32 通
件名から企業名を数えると 337 社。そのうち 199 社は 2 回以上届いた。最も多い 1 社は 7 か月で 32 通。
72 通は件名の頭に「【9/6締切】」のような締切が付いている。
IT 志望の学生に届いた職種
件名の職種名に、ソフトウェア・システム開発・SE・プログラミング・Web・アプリ・IT・データ・AI などの語が入っていたのは 62 通(5.6%)。
件名の職種名に多かった語:
※ 1 通に複数の語が入ることがあるため、合計は 1,105 にならない。「エンジニア」「開発」は機械・電気の職種にも使われるため、IT 系の数には入れていない。
件名に出た勤務地の語は、東京 42 通に次いで石川 22、愛知 22、長野 19 通。
サイト A: 通知 34 通に「あなた」のことは 0 通
サイト A の通知には、次の一文が毎回入る(34 通すべて)。
このスカウトは、経営者や人事の方が〇〇様のプロフィールに興味を持ち、特別な思いを込めて送っています。
— サイト A の通知メール(名前は伏せた)
34 通のうち 16 通は、差出人が運営会社自身か同社のエージェント部門だった。この一文は、その 16 通にも同じように入っていた。
通知の本文で毎回変わるのは、宛名・送り主の企業名・スカウトの題名・承諾の締切の 4 か所だけ。スカウトの題名に、受け取った本人に固有の情報(名前、大学、プロフィールに書いた経験やスキル)が入っていたものは 0 通。代わりに入っていた語:
単位は通。一つの題名に複数の語が入ることがある。
34 通のうち 9 通は、スカウトの題名と 14 字以上同じ文面が、前後 30 日以内の会員向け一斉配信(おすすめ・特集)にも出てきた。1 通は題名がそのまま一斉配信の件名になっていた。同じスカウトが 4 日後にもう一度届き、題名に「残り枠」が足されていたこともある。
一斉配信の「あなた」
サイト A の一斉配信の本文では、「あなた」が誰かが書いてある。
- 「〇〇大学のあなたへ」の形: 29 通
- 「このメールは〇〇大学に所属している人に送っている」と本文に明記: 24 通
- 卒業年度(〇〇卒)が本文に出てくる: 424 通
- 「〇〇志望の皆さんへ」の形: 49 通
件名に「プロフィールに合わせた」と書いた一斉配信は 89 通。その「プロフィール」の中身として出てくるのは、大学・卒業年度・学部の系統・志望業界のどれかだった。
サイト D
127 通のうち、企業から 102 通、人材紹介(エージェント)から 25 通。ほかに「今週の未読スカウト」の催促が 17 通。
何人に届いているか
分からない。どのサイトのメールにも、送った人数は書かれていない。題名に出てくる「数名限定」「残り〇枠」はイベントの定員で、スカウトを送った人数ではない。
言えるのは次のことまで。
- サイト B は、企業が個人を特定できない仕組みだと自分で書いている
- サイト A の 34 通に、受け取った本人に固有の情報は 1 つもなかった。9 通は同じ文面が会員全体への配信にも出ていた
- 「プロフィールを見て送った」という一文は、運営会社が自分で送ったスカウトにも付いていた
読むときの注意
- 学生 1 人の受信箱。プロフィールの書き方や志望によって、届くスカウトは変わる。
- 「同じ文面」は、空白と記号を除いて 14 字以上一致したものを数え、一致した 9 通は目で確認した。
- スカウトの本文はサイト内にあり、メールには入っていない。ここで比べたのは通知メールの文面。
- 職種の分類は件名の語で判定した。
集計: 受信箱の読み取り専用コピー(本文は保存しても公開しない)。2026-10-31 時点。