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月給 30 万円・固定残業 45 時間なら基本給は約 22 万円: 固定残業代の読み方

手順 2026-10-31 · 4 分

月給 30 万円に固定残業代 45 時間分が含まれていると、基本給は約 22.2 万円、固定残業代は約 7.8 万円になる(月の所定労働時間 160 時間、割増率 25% で計算)。固定残業代のある会社は、求人票に 3 つのことを書くよう国の指針で決まっている。

求人票に書かなければならない 3 つ

若者雇用促進法に基づく指針(厚生労働省)は、固定残業代を採用する場合、次の 3 つをすべて明示するよう求めている。

  1. 固定残業代を除いた基本給の額
  2. 固定残業代に関する労働時間数と金額などの計算方法
  3. 固定残業時間を超える時間外労働・休日労働・深夜労働に、割増賃金を追加で支払うこと

厚生労働省のリーフレットの記載例:

① 基本給(××円)(②の手当を除く額)

② □□手当(時間外労働の有無にかかわらず、○時間分の時間外手当として△△円を支給)

③ ○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給

— 厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」

この 3 つのどれかが書いていない求人は、指針に沿っていない。

計算してみる

月給(固定残業代込み)を T、固定残業時間を h、月の所定労働時間を 160 時間、割増率を 25% とすると:

基本給 = T ÷ (1 + h × 1.25 ÷ 160)

月給(込み) 固定残業 基本給 固定残業代 時給換算(基本給 ÷ 160)
30 万円 45 時間 約 22.2 万円 約 7.8 万円 約 1,387 円
30 万円 20 時間 約 25.9 万円 約 4.1 万円 約 1,622 円
25 万円 30 時間 約 20.3 万円 約 4.7 万円 約 1,266 円

※ 実際の所定労働時間や、手当のうち割増賃金の計算に入るものは会社で違う。この表は比べ方の例。

月給が同じ 30 万円でも、固定残業が 45 時間か 20 時間かで、基本給は 3.7 万円違う。

45 時間という数字

労働基準法は、時間外労働の上限(限度時間)を原則月 45 時間・年 360 時間としている(第 36 条第 4 項)。固定残業 45 時間は、この原則の上限いっぱいの時間を、毎月の給与に前もって入れていることになる。

固定残業時間より実際の残業が少なくても、固定残業代は減らない。多ければ、超えた分は追加で払われなければならない。月 60 時間を超えた時間外労働の割増率は 50% 以上(同 第 37 条第 1 項)。

トラブルは賃金が一番多い

厚生労働省のリーフレットによると、ハローワークに寄せられた「求人票の記載内容と実際の労働条件が違う」という申出・苦情で、最も多い内容は「賃金に関すること(固定残業代を含む)」だった(2017 年度)。

裁判所の判断: 「判別できること」

厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、定額の残業代には「割増賃金相当部分とそれ以外の賃金部分とを明確に区別すること」が要るとしている。紹介されている裁判例:

事件 裁判所・年 判断の要点
小里機材事件 最高裁 1988 基本給のうち時間外手当にあたる部分を明確に区別して合意した場合に限り、固定の手当を時間外手当に充てられる
テックジャパン事件 最高裁 2012 月 41 万円の基本給は、通常の賃金と割増賃金の部分を判別できない。一定時間以内の時間外労働にも割増賃金を払う義務がある
医療法人康心会事件 最高裁 2017 年俸に割増賃金が含まれるという合意があっても、内訳が明らかでなければ判別できない。会社は差額を払う義務がある
日本ケミカル事件 最高裁 2018 定額の手当が時間外労働の対価かどうかは、契約書の記載、会社の説明、実際の勤務の状況などから判断する。本件の業務手当は対価と認めた
熊本総合運輸事件 最高裁 2023 時間外手当と調整手当を全体として見て、通常の賃金の部分を含み判別できないなら、割増賃金を払ったとは認められない

同じページは、タイムカードなどの明確な証拠がなくても、労働者が作った記録などで一応の立証がされ、会社が反証できなければ請求が認められることがある、としている。自分で労働時間を記録しておくことに意味がある。

求人票を見るときの順番

  1. 「固定残業代」「みなし残業」「〇〇手当(〇時間分)」の文字を探す
  2. 基本給だけの額を確かめる。書いていなければ聞く
  3. 固定残業の時間数を確かめる。45 時間に近いほど、残業を前提にした給与
  4. 「超えた分は追加で支給」と書いてあるか
  5. 賞与や昇給が基本給を基準にしている会社では、基本給の差がそのまま効く

固定残業代の有無と実際の残業時間は、青少年雇用情報の「月平均所定外労働時間」と並べて見る。

読むときの注意

出典: 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」(青少年雇用対策指針 第二の一(一)ハ(ハ)の抜粋を含む)/ 労働基準法 第 36 条・第 37 条(e-Gov 法令検索)/ 厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例: 割増賃金不払い(判示の骨子と基本的な方向性)。2026-10-31 確認。