仕事のミスで会社に損害が出ても、労働者が**当然に**損害賠償を負うわけではない。会社が求められるのは「信義則上相当と認められる限度」で、最高裁は、事故の損害について会社が労働者に請求できるのは **4 分の 1 が限度**とした例がある(茨城石炭商事事件、1976 年)。

## 厚生労働省が紹介する考え方

「確かめよう労働条件」の解説:

- 労働者が当然に損害賠償責任を負うものではない。労働者のミスは事業の運営に伴うもので、そのリスクは会社が負うべき面がある
- 責任を負うとしても、損害の公平な分担という観点から、信義則上相当と認められる限度
- 考える要素: 事業の性格・規模、労働条件、勤務態度、会社が損害を防いだり分散したりする努力をしていたか(保険など)

## 裁判例

| 事件 | 裁判所・年 | 判断の要点 |
|---|---|---|
| 茨城石炭商事事件 | 最高裁 1976 | 会社が請求できるのは信義則上相当と認められる限度。会社は対物・車両保険に入っておらず、労働者は臨時にタンクローリーを運転していたことなどから、損害の 4 分の 1 が限度 |
| エーディーディー事件 | 大阪高裁 2012 | 労働者が当然に債務不履行による損害賠償責任を負うものではない。損害は取引の中で通常ありうるもので、労働者に故意・重過失は認められず、会社の請求を退けた |

## 新卒が知っておくこと

- **給与からの天引き**: 賃金は全額払いが原則(労働基準法 第 24 条)。損害賠償を一方的に給与から差し引くことは、この原則との関係が問題になる
- **「ミス 1 回につき〇万円」「途中で辞めたら〇万円」のような約束**: 労働基準法 第 16 条は、違約金を定めたり、損害賠償の額を前もって決めたりする契約を禁じている
- **求められたら**: すぐにサインや支払いをせず、総合労働相談コーナーに相談する([労働相談](#/a/roudou-soudan))

## 読むときの注意

- 判例の紹介で、個別の事案の結論ではない。故意や重大な過失がある場合は、扱いが変わりうる。

<p class="note">出典: 厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例: 仕事上のミスを理由とする損害賠償(茨城石炭商事事件、エーディーディー事件の判示の骨子と解説)/ 労働基準法 第 16 条・第 24 条(e-Gov 法令検索)。2026-10-31 確認。</p>
