会社は、業務による疲労や心理的負荷が過度にたまって**労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務**を負う(最高裁 2000 年、電通事件)。この事件の労働者は、新卒で入社して 2 年目の社員だった。時間外・休日労働が月 80 時間を超えた人は、申し出れば医師の面接指導を受けられる(労働安全衛生法)。

## 厚生労働省が紹介する裁判例

| 事件 | 裁判所・年 | 判断の要点 |
|---|---|---|
| 電通事件 | 最高裁 2000 | 会社は、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷などが過度に蓄積して、労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う。指揮監督の権限を持つ上司も、この義務に沿って権限を使うべき。本件の上司は業務の量を調整する措置をとらなかった |
| 横浜南労基署長事件 | 最高裁 2000 | 業務による過重な精神的・身体的負荷が基礎疾患を悪化させ、発症に至ったとみるのが相当として、労災と認めた |
| 静岡県(警部補過労自殺)事件 | 最高裁 2025 | 同じ注意義務は都道府県と警察官の間でも変わらない。上司が負担軽減の措置を講じなかったことは注意義務違反 |

## 申告しなくても

| 事件 | 裁判所・年 | 判断の要点 |
|---|---|---|
| 東芝事件 | 最高裁 2014 | 会社は、労働者からの申告がなくても、健康に関わる労働環境に十分な注意を払い、業務を軽くするなどの配慮をすべき。メンタルヘルスの不調を申告しなかったことを理由に、賠償額を減らすこと(過失相殺)はできない |

同じページの解説: 会社には、労働者の生命や身体などの安全、健康に配慮する義務がある。

## 長時間労働の目安

| 時間 | 意味 | 記事 |
|---|---|---|
| 月 45 時間 | 時間外労働の原則の上限 | [残業の上限](#/a/zangyou-jougen) |
| 月 80 時間超 | 医師の面接指導の対象になる要件(時間外・休日労働、本人の申出など) | 本記事 |
| 月 100 時間 | 特別条項でも、時間外 + 休日労働はこれ未満 | [残業の上限](#/a/zangyou-jougen) |

## 自分でできること

1. **労働時間を記録する**: 出退勤の時刻を、自分でも毎日メモする
2. **上司に業務量を伝える**: 調整する権限は上司にある(電通事件)
3. **医師の面接指導を申し出る**: 月 80 時間を超えたら
4. **相談する**: 会社の産業医・相談窓口、総合労働相談コーナー([労働相談](#/a/roudou-soudan))、労働基準監督署

入社前には、月平均所定外労働時間を会社に求められる([若者雇用促進法](#/a/wakamono-koyou))。

## 読むときの注意

- 判例の紹介で、個別の事案の結論ではない。
- 体や心の不調を感じたら、医療機関にかかる。

<p class="note">出典: 厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例: 過重労働(電通事件、横浜南労基署長事件、静岡県(警部補過労自殺損害賠償請求)事件の判示の骨子と事案の概要)・メンタルヘルス(東芝事件)/ 厚生労働省「専門業務型裁量労働制の解説」(2024 年 3 月、労働安全衛生法に基づく医師の面接指導の要件)。2026-10-31 確認。</p>
