給料などの労働条件は、会社と本人の**合意**があれば変えられる(労働契約法 第 8 条)。ただし最高裁は、同意書に署名しただけでは足りず、変更の中身と不利益を十分に説明されたうえで、**自由な意思**に基づく同意といえる合理的な理由が客観的にあるかを見るとした(山梨県民信用組合事件、2016 年)。2025 年度、労働局などへの「労働条件の引き下げ」の相談は 33,368 件で、助言・指導の申出では最多だった。

## 変えられる 2 つの道

| 道 | 条件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 本人の合意 | 合意すれば変更できる。ただし、自由な意思に基づくかが問われる | 労働契約法 第 8 条、山梨県民信用組合事件 |
| 就業規則の変更 | 合意がなくても、変更後の規則を周知し、変更が合理的なら変更できる | 同 第 9 条・第 10 条([就業規則](#/a/shuugyou-kisoku)) |

## 厚生労働省が紹介する裁判例

| 事件 | 裁判所・年 | 判断の要点 |
|---|---|---|
| 山梨県民信用組合事件 | 最高裁 2016 | 賃金などを減らす同意書への署名は、それだけで同意とはいえない。具体的な不利益について十分な情報が示されていたかなどを見るべきとして、差し戻した |
| みちのく銀行事件 | 最高裁 2000 | 不利益を緩和する措置もなく大きな不利益を負わせる賃金制度の変更は、同意しない労働者には効力がない |
| 第四銀行事件 | 最高裁 1997 | 定年を 60 歳に延ばす代わりに 55 歳以降の賃金を下げた就業規則の変更は、さまざまな事情から合理的として有効 |
| 大曲市農協事件 | 最高裁 1988 | 合併後の退職金の規定の変更は、必要性が高く合理的として、反対する労働者にも効力がある |

## 「同意書にサインを」と言われたら

1. **その場でサインしない**: 持ち帰って読む
2. **何が、いくら、いつから変わるかを書面で聞く**: 基本給か手当か、月にいくら下がるか
3. **理由を聞く**: 会社の経営状況、本人の評価など
4. **相談する**: 総合労働相談コーナー([労働相談](#/a/roudou-soudan))。労働局長の助言・指導を申し出ることもできる

## 読むときの注意

- 判例の紹介で、個別の事案の結論ではない。

<p class="note">出典: 労働契約法 第 8 条・第 9 条・第 10 条(e-Gov 法令検索)/ 厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例: 労働条件の引き下げ(基本的な方向性と判示の骨子)/ 厚生労働省「令和 7 年度個別労働紛争解決制度の施行状況」。2026-10-31 確認。</p>
